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2024.09.02
8月1日~6日までスタディツア―を開催しました♪
さて、大変大変遅くなってしまいましたが、スタディツアのご報告です。
今年は、16名の方々が参加して下さり、うち2名は中学生でした。今年は中学生以上の未成年は親子で参加ができるようにしました。16名のうち、7名はリピータの方でした。今年のツアーを経て、JFCネットワークのスタディツア―では参加者の方々と一緒に作り上げていくツアーなんだと改めて感じました。
さて、8月1日はマニラの空港でお昼過ぎに集合して、マリガヤハウスへ向かいました。マリガヤハウスでは1人のお母さん、2人のJFCがスピーチをしてくれました。どのスピーチも心を打つ内容でした。他の機会で皆様にご紹介したいと思います。一つ印象に残ったスピーチを引用します。
「マリガヤハウスは僕のような人間、本当の自分を見つけたいと願っている人間、心の中に欠けているピースを埋めたくてそのピースを探している人間を大切にしてくれています。14~15年間、父に会うことも声を聞くこともできず、僕の心の中には常に欠けているものがありました。もし僕のケースが解決したら、僕は、同じような状況に直面するJFCたちを助けるために、僕の時間、労力、そして能力を提供することを厭いません。」
8月2日、午前中にマニラからダバオへ移動し、お昼はクライアントさんのフィリピン人のお母さんが経営するフィリピン料理のレストランで食事をしました。料理がとても美味しいのはもちろんのこと、経営はうまくいっているようで、その日もたくさんのお客さんが来ていました。15歳のJFCのMくんも顔を出してくれました。
午後からはフィリピン残留日本人孤児のご家庭を訪問しました。80歳を超える2世のGさんからのお話を伺いました。Gさんには入院をされているというお兄さんもおり、オンラインでつなげて参加者の皆さんに挨拶をされていました。
お二人の父は当時、ダバオに駐屯していた日本人将校とのことでした。父にはとてもよくしてもらい、食糧難だった当時、缶詰などその他食料をたくさんもらったと話してくださいました。ただ、その人が父だという証拠がほとんどなく、日系人会に相談をして登録はしているものの父を探すことはできなかったとのことでした。
お二人は戦後、「日本人の子」だということで家族の中でも地域社会の中でも、とても苦労したことを涙ながらに話してくださいました。
Gさんのお話に耳を傾ける中で時代は違えども私たちがサポートをしているJFCたちの想いと共通するものも感じました。「日本人の父親を求め探し続ける」こと。これはGさんたち日系人の方々にとっても、一人の人間として、自分の中に空いてしまっているピースを埋めたいという思いなのだと思いました。人が生きる上で、出自を知る権利の大切さを改めて感じました。
8月3日、ダバオのRGS-COWでのオリエンテーションがあり、母2名とJFC2名がスピーチをしました。最後にお母さんたちが松田聖子さんの「私だけの天使」を歌ってくれました。歌いながらお母さんたちの中には泣き出してしまう人もいて、参加者の私達もお母さんたちがこの歌を選んだ気持ちがとても伝わってきて心打たれました。
「あなたがいるから ママはこうやって、仕事を頑張ってゆけるの 約束するわ ママは命かけて あなたのことを守ってゆくわ それがママにとって 生きがい 何より素敵よ あなたがこの世に生まれてきてくれたことが」
JFCの子どもたちの中には、父に存在を拒否されていることで「この世に生まれてきたことを祝福されてない」と感じている子どもたちも多くいます。でも、JFCのお母さんたちにとっては、JFCの子どもたちはとても大切な存在で、彼女たちの生きがいで、かけがえのない命です。そんなお母さんたちからのメッセージを受け取ったように思いました。
その後、日比混合のグループに分かれてワークショップをしました。テーマは平日と休日の「1日の生活」。日本で生活しているツアー参加者とフィリピンで生活しているJFC母子との相違点と類似点をお互いに見出して、「へえ~」とお互いを知り合ういい機会でした。
その後はホームステイ先の各家庭と一緒にそれぞれの家庭に向かい、一晩過ごしました。
8月4日の夕方にホームステイ先から戻った参加者たちから、それぞれの体験や感想のシェアを行いました。
8月5日、ダバオからマニラに戻る前、ホテルで「教えられなかった戦争―フィリピン編―」を皆で視聴しました。今回は残留孤児のご家庭を訪問したこともあり、日本軍がフィリピンで何をしたのか、について参加者たちに学んでもらいたいと思い、このビデオ視聴はいい機会となりました。
8月6日朝、解散。今年も充実したよいツアーとなったと思います。企画はJFCネットワークですが、毎年参加して下さることで、現地のJFCの子どもたちやお母さんたちとの交流がより深まり、お母さんたちや子どもたちも毎年楽しみに待っていてくれて、1年に1度の再会が両者をより強い絆で結んでいるように思います。やはりさまざまな人と出会うことや知り合うこと、はその人がその後生きていく人生の方向性に影響を与えていくこともあります。人と出会いによってお互いに関心もより高まるし、知り合うことによって、相手のことを気にかけるようになります。そして相手の「国」も気になるようになりますね。普段は遠く離れて生活をしていても、国は違えど自分のことを気にかけてくれている「隣る人」的な存在になっている関係性がやんわりとできていて、これもツアーの素晴らしさだなと感じました。