設立経緯
JFCネットワークは2024年に30周年を迎えました
1994年5月に初代代表松井やよりがNGOとして「JFCを支えるネットワーク」を設立しました。
1998年には、マニラの事務所「マリガヤハウス」を開設し、フィリピン現地で多くの相談を受けてきました。
当時は幼い子どもを持つ母親からの相談が多かったのですが、
30年経った現在は、青年となったJFC自身から相談を受けることも増えました。
また、日本国籍や父親からの認知を得た後、来日するケースが絶えません。
今後も彼らの現状に寄り添いながら、活動を進めていきます。
理事長あいさつ
子どもたちが自分たちで声をあげることはとても難しいことです。親も弱い立場にある場合は、声をあげることはますます難しくなります。ようやく声をあげることができても、その声は、国や、大人などより力のある人たちの声にかき消されがちです。
私たちJFCネットワークでは、そうした子どもたちの中でも、フィリピン人と日本人を親に持つ子供たち(JFC)に焦点を当て、彼らが本来有するべき尊厳や権利をもって生きていくことができるよう、お手伝いをしてきました。
彼らの抱える問題は、様々です。認知、養育費、国籍、在留資格など、法的な問題。フィリピン人と日本人の親を持つ子供としてのアイデンティティの問題。外国につながる子供としての教育の問題。法的な問題解決後も残る経済的な問題。JFCやその母親は脆弱な立場に置かれやすく、人身売買をはじめとする搾取から彼らを守るという課題もあります。
設立30周年を迎え、私たちJFCネットワークは、法的問題を中心にこれらの課題にこれからも一つ一つ取り組んでいきます。引き続き、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
JFCネットワーク30年のあゆみ
JFCネットワークの軌跡 | 日本とフィリピン(海外)の人の移動をめぐる出来事 | |
1985年~ | 興行(エンターテイナー)ビザで毎年、数万人の女性たちが来日する。 | |
1993年 | 日本から帰国したフィリピン人女性から「日本人のお父さんを探して欲しい」という依頼がフィリピンのNGO・バティスセンターに殺到する。 | |
1994年 | NGOとして「JFCを支えるネットワーク」設立。初代代表 故松井やより | フィリピン労働雇用省が「芸能人資格認定証(ARB)」制度を設ける。 |
1998年 | フィリピン・マニラに現地事務所「マリガヤハウス」開設 | |
2004年 | アメリカ国務省の人身取引報告書が日本の興行ビザは人身売買の温床と指摘。 | |
2005年 | 興行ビザの発給が厳格化される。 | |
2006年 | NPO法人の認証を東京都より得る。
「JFCネットワーク」と名称を変更。 |
|
第21回東京弁護士会人権賞受賞 | ||
2007年 | COW(Religious of the Good Shepherd-Center for Overseas)との協働開始 | 米国務省「人権白書」で日本の研修・技能実習で働く外国人も「人身売買である」と報告される。 |
2008年 | 当団体のサポートするJFCの子どもたちが原告となった国籍確認訴訟(国籍法3条)で違憲判決。 | 「日比経済連携協定(EPA)」発行。(人の移動・ケアワーカーの導入が可能となる) |
2009年 | 新国籍法施行。以後、日本国籍を取得したJFC母子の来日が増加。来日をめぐった人権侵害が問題となる。 | |
2011年 | 第4回かめのり賞受賞 | 東日本大震災、福島第一原子力発電所事故により多数の外国人が帰国。 |
2013年 | 「改正国籍法施工以後のジャパニーズ・フィリピノ・チルドレンの来日と就労の課題」をテーマに調査報告をおこなう。 | |
2014年 | JFCネットワーク20周年。成人したJFCを対象に、エッセイコンテスト「JFCとして生きるわたしの人生」開催。のちにフィリピン、アテネオ出版から書籍化。 | JFCとフィリピン人の母親が介護施設経営者やブローカーにだまされるケースが多発。
日本政府「ハーグ条約(国際的な子の奪取に関する条約)」に加入。 |
2021年 | マリガヤハウスにてオンライン相談受付開始。フィリピン全土からの相談が可能となり、相談件数が急増。 | 新型コロナウイルス感染症の水際対策の強化により、留学生、技能実習生等の入国制限。 |
参考:もりきかずみ「フィリピン移住女性と日本社会」(明石書店)
今後の活動に向けて
今後も認知や養育費請求、日本国籍の取得のサポートなど、法的な支援を軸に活動していきます。
オンラインによるケース相談の受付を開始したこともあり、フィリピン・マニラの事務所マリガヤハウスには、フィリピン全土からフィリピン人のお母さんたちやJFC自身からたくさんの問い合わせを受けています。
相談件数が急増し、すべてのケースに対応しきれていませんが、ケース相談から解決までよりスムーズに進めるための基盤を整えていく予定です。
また、JFCネットワークは、認定NPOになることを目指しています。
認定NPO法人になると、寄付してくださった方が税の優遇を受けられるようになります。
認定NPO法人になることで、団体もより多くの寄付を集める基盤が作られ、より多くの子どもたちをサポートする体制が作られます。
認定NPO法人になる基準の1つとして、「年3,000円以上の寄付者数が、認定取得を利用する期間内で年平均100人以上」という条件があります。そのため、3,000円以上の寄付者を100人以上にすることを目標にしています。
設立30周年のこの機会に、皆様からの応援をお待ちしています!