みなさまご存知の通り、マリガヤハウスの日本人スタッフの河野尚子が、2021年4月1日にまだ45歳の若さで逝去しました。彼女を失い、JFCネットワークは1994年の設立以来最大の危機に直面しました。フィリピンのケースマネージメントをするソーシャルワーカーを失ったため、東京事務所のスタッフが相談対応をせざるを得なくなり、東京事務所の業務が倍増し、スタッフが土日もなく働いても仕事がこなせないほど困難な状況に陥りました。

尚子さんは、学生時代に訪れたフィリピンでの経験から、フィリピンでソーシャルワーカーになることが夢でした。フィリピンでソーシャルワーカーになるための勉強に励み、2004年10月にマリガヤハウスのスタッフとして働き始めました。今年で17年目になります。

フィリピン人のお母さんたちの陳述書作りには1日かけてじっくり話を聞いて作成していました。時には、母親たちの話に怒りをあらわにしたこともありました。時には悔しくて共に涙したこともありました。そして、時には母親たちのたくましさに励まされ、そしていつでも、彼女たちと共に明るく笑顔で困難に立ち向かっていました。苦境下に置かれたJFCの子どもたちの気持ちにいつも寄り添い、場合によっては、母親たちを叱り飛ばす勇気のある人でした。

まだまだ一緒に仕事がしたかったです。一緒にしなければならない仕事が山ほどあったのに。悔しくて本当に残念でなりません。

マリガヤハウスは尚子さんそのものでした。尚子さんなくしてマリガヤハウスではないのです。「マリガヤハウスはティタ・ガイに任せたよ」と泣きながら逝った尚子さん。マリガヤハウスを維持するために、私たちは尚子さんの思いを引き継いでいかなければならないと心に決めました。

そんな危機的状況の中、かつてソーシャルワーカーとして働いた経験のある方からマリガヤハウスを助けたいと申し出があり、東京事務所にも、かつてインターン経験のある方が一緒に働いてくれることになり、暗闇の中に光が見えてきた気がしています。

そして、この度、16年間の尚子さんの功績をたたえ、尚子さんの遺志を引き継ぐために、「マリガヤ応援ファンド」を立ち上げることにしました。

ファンドに頂いたお金はマリガヤハウスの維持のために使われます。マリガヤハウスのスタッフの人件費、運営費、管理費、その他マリガヤハウスを維持していくためには年間200万の経費が必要です。将来的にはマリガヤハウスのスタッフを1人増やしたいと思っています。

尚子さんは言っていました。

「身勝手な親から生まれてきたって子どもには何も責任ないんや、そんな子どもたちを親が守れないとしたら、子どもたちのために誰かが声をあげていかなきゃならん」

父親を知らずに育った子どもたちは、「日本人のお父さんを探したい。生まれてから会ったことのない父に会って自分を一人の人間として完成させたい」と、自分の中に何か欠けたものを感じながら生きています。

一人の人間が生きていく上で「出自を知る権利」はとても重要な権利です。出自、というのは、自分の土台の部分であって、その土台がしっかりしていないとその上にうまく人生を積み重ねていけないのです。

フィリピンで生まれ日本人の父親から遺棄された子どもたちが、自分の人生に自信を持って歩いて行ってほしい。私たちはそう願い、尚子さんの遺志を引き継いでマリガヤハウスの再建のために努めていきたいと思います。

なお、ファンドにご支援頂ける際には、①振込先銀行、②お名前、③「マリガヤ応援ファンド」へのご支援であることを振込用紙やメールに明記して頂くか、お電話などでご連絡を下さいますようお願いいたします。ご連絡がないものについては一般寄付としていますので、どうぞよろしくご協力をお願いいたします。

※クレジット決済が便利です（HPから手続き可能です）。URL: http://www.jfcnet.org/

【ファンドのお振込み先】

みずほ銀行　市ヶ谷支店　（普）1920944　特定非営利 活動法人JFCネットワーク

三菱東京UFJ銀行　市ヶ谷支店（普）1399324　特定非営利活動法人JFCネットワーク

郵便振替口座　00120－2－720－290　特定非営利活動法人JFCネットワーク

【お問い合わせ】

特定非営利活動法人　JFCネットワーク　Citizen’s Network for Japanese-Filipino Children

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