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2023.02.27
2023年2月21日(火)「国籍はく奪条項違憲訴訟」の控訴審判決が出ました。
2月21日(火)、「国籍はく奪条項違憲訴訟」の控訴審判決が出ました。残念ながら請求棄却。原告たちの訴えは認められませんでした。NHKと朝日新聞が取り上げてくれましたのでご紹介します。他社は取り上げてくれなかった(たぶん)のですが、朝日新聞が社説で取り上げて下さって嬉しいですね。
二重国籍を認めない日本において日本国籍を取得したJFCたちは「国籍選択」にとても悩んでいます。父の国、母の国、それぞれの国の国籍を自分たちのアイデンティティとして培っているJFCたちが、いずれの国かを選択を迫ることは非常に酷なことです。
◆NHK
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◆朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/DA3S15563533.html?fbclid=IwAR3KL9xm7oY0PVEeSTvZznMarWK-Z93oLyR0l7gLZ-kQlEQ71B20pH-xXQA
(社説)国籍奪う規定 現実をふまえた検証を
一人ひとりの人権と直結する国籍法は、国境を越えて日本人が活動することが当たり前になった現代にかなっているか。現実をふまえた検証が急務だ。
国籍法11条1項は「自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と定める。これに基づき国籍を失った人たちが、規定は違憲だと訴える裁判を、東京をはじめ各地で起こしている。
東京高裁はおととい、欧州在住の8人の訴えを退けた。判決は、憲法22条2項は国籍離脱の自由を定めるが、離脱しない自由を積極的に保障してはいないと述べ、重国籍を防止、解消する規定の目的は合理的だと判断した。
ただ、当事者たちが置かれている状況を放置していいとは、考えられない。外国籍を得た事情はそれぞれだが、そうしなければ自ら興した事業を続けられない、公務に携われないなど、それぞれの地で生きていくためのぎりぎりの選択だ。日本国籍に影響するとは思いもしなかったという人もいる。
国籍はその人の権利を下支えするものであり、アイデンティティーとも密接にかかわっている。本人の意図に反して奪うことには、きわめて慎重でなければならない。
明治時代の旧法以来のこの規定により、1985年以降、2万5千を超える人が日本国籍の離脱を届け出たとされる。不本意だった人も相当いただろう。昨年10月現在の海外在留邦人は約130万人で、うち「永住者」は約55万人で過去最高だった。こうした人たちが今後、居住国の国籍をとる必要に迫られることもありうる。規定の影響のすそ野は広い。
いったん国籍を失えば、「里帰り」の時も外国人として「入国」し、親の介護であれ長期滞在には在留資格が必要になる。
出生や結婚を理由とする重国籍は事実上、認められており、日本国籍を本人の同意なく一方的に奪う、この規定の強制的な性格は突出している。他方、外国籍を得た事実は日本政府側が自動的に把握できることではなく、特定の人に旅券が更新されないなどの影響が出る恣意(しい)的な運用のリスクも指摘される。
グローバル化を背景に、条件付きを含め重国籍を認めている国は7割以上に上る。兵役、社会保障などの国民の義務、権利を国際協定などで調整する経験も重ねられてきている。
裁判の原告側は上告する意向だ。だが、最高裁の判断を仰ぐまでもなく、この規定の必要性を、海外で生きる日本人の権利保障やその活動を後押しする政策の観点も採り入れて議論することは、国会の責任である。