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2012.04.01
第一審判決報告会のお知らせ
2012年3月23日(金)午後1時25分より東京地方裁判所705号法廷において、国籍確認訴訟の第一審判決が下されました。
日本に在住する原告1名について国籍が認められたものの、非常に残念なことに残る26名(フィリピン在住)については日本国籍が認められませんでした。国籍法12条の違憲無効の主張は斥けられ、実質的な敗訴判決でした。JFCネットワークのフィリピン事務所・マリガヤハウスの原告達もみな国籍が認められませんでした。判決理由は、基本的に国の主張にそったものです。今後は控訴審で再度追及する予定です。
今回の国籍確認訴訟の第一審判決の報告会を以下の通り行います。皆様に幅広く知っていただきたいので、少しでも関心のある方の出席大歓迎です。
【国籍確認訴訟とは?】
外国で生まれ、外国籍を取得した日本人の婚内子は出生から3ヶ月以内にその出生を在外日本大使館または日本の市町村役場に届け出ないと日本国籍を喪失してしまいます(国籍法12条、戸籍法104条)。
JFCネットワークの総受理ケース中、婚内子は472人であり、そのうちフィリピンで出生した婚内子は341人(72.25%)だった。フィリピンで出生した婚内子(341人)のうち、国籍を留保していた子どもは111人(32.55%)であり、230人(67.45%)は国籍を喪失していました(2011年12月31日現在)。国籍喪失ケースのうち、現在までに国籍(再)取得できたケースは31件(13.48%)に過ぎません。
このように極めて多数の国籍喪失ケースが発生しているのは、日本人父・フィリピン人母ともに国籍喪失制度(国籍法12条)の知識を有せず、フィリピンで出生後直ちに日本大使館に出生届をすることの重要性を認識していないからです。殊に国籍喪失制度は一般にはなじみのない特殊な制度です(ちなみに日本で出生したJFCは婚内・婚外を問わず、また出生後何年経った後でも大使館に出生を届け出ればフィリピン国籍を取得できます)。
日本国籍を有しない婚内子は、日本人父の戸籍に記載されません。このことは認知された婚外子が(外国籍であっても)父の身分事項欄に記載されることと対比して不均衡であるのみならず、身分関係の公証という戸籍の機能を害するばかりか、相続発生の場合に相続人を覚知し得ずに紛争の火種を残すという現実的な問題も生じさせます。
国籍留保届を行わなかったために日本国籍を喪失した子どもは、日本に住所を有するときには、届出によって日本国籍を再取得することができます。(国籍法17条1項)。しかしながら、国籍の再取得の手続を行うには、フィリピンに在住する母子が来日し、短期滞在の在留資格で入国した後、在留資格を定住者に変更して日本に居住し、仕事を探して生活する一方、家庭裁判所において親権者指定の申立を行い、前述した単独親権を得て法務局に対して国籍再取得の手続を行わなければなりません。
何よりも、出生後3か月以内に出生の届出を国籍留保届とともに行わなかったことは子どもの意思ではなく、子どもに罪はありません。JFCネットワークでは国籍喪失した婚内子に対しこの問題の重要性を伝え、合計26名の子どもたちを原告として国籍確認訴訟を2010年7月21日、東京地方裁判所に提訴しました。
「子ども本人の意思によらない国籍法12条による国籍はく奪は、国民の権利保障と法の下に平等を定めた憲法13条および14条1項に違反します」
と子どもたちは主張し、日本国籍保有の確認を求めています。